「オスマン帝国外伝・愛と欲望のハレム」はトルコ版大奥のようなドラマ。ドロドロの人間関係が描かれる昼ドラのようです。現代と違い、争いに負ければ死が待っているという厳しい現実がさらに登場人物を過激に白熱した争いにかりたてます。
トルコ人の感性は欧米人より日本人に近いといわれます。外国のドラマですが日本人が見ても面白い。
でもトルコの歴史や人物は知らない人も多いと思います。
そこでドラマのシーズン3に出てくる人々について簡単にわかりやすく紹介します。
ネタバレ要素も含まれているので先のことを知りたくない方は注意してください。
シーズン3で描かれる時代はオスマン帝国とサファビー朝イランの戦いが始まる1533年ごろから、メフメト王子が死去する1543年ごろまでです。
オスマン帝国の人々
主要人物
皇帝スレイマン1世
オスマン帝国第10代皇帝。領土を広げ法律をつくりオスマン帝国の最盛期を作った人。トルコの歴史では偉大な皇帝として知られています。遠征好きで何度も外国と戦って領土を広げました。その一方でハレムでは問題が多く、ハレムの人々が政治に口出しするきっかけを作ったともいわれます。詩が大好き。ムヒッピー(恋する者)というペンネームで詩を書いていました。
シーズン3ではサファビー朝との戦争が始まったあたり。シーズン3で新しくやってきた側女がお気に入り。最初はシーズン2までのヒュッレムへの甘さは影を潜めていますが、やっぱりヒュッレムのいいなりに。世界皇帝の威厳はどこへやら。
スレイマン1世の詳しい説明はこちら
・スレイマン1世・オスマン帝国の黄金時代を作った壮麗帝
皇帝妃ヒュッレム
本名はアレクサンドラ・アナスタシア・リソフスカ。
ルテニア地方(現在のウクライナ)出身。故郷がクリミア・タタール人に襲われ奴隷として売られ宮廷に来ます。イスラム教に改宗してヒュッレムと呼ばれました。
スレイマンの寵愛を独占。ハセキ・スルタン(皇后)になります。政治にも口を出して「スレイマン皇帝が魔法にかけられた」といわれるくらい影響力をもちました。5男1女を出産。
シーズン3では名実ともにハレムのトップ。シーズン3前半はハティジェが主な敵。スレイマンは新しい側女に夢中でしたが、それも排除成功。シーズン3では権力があるうえにますます過激。サイコパス気味に。追い詰められてもスレイマンが助けてくれる。もはや敵なしでしたが、シーズン3ラスト直前で謎の疾走。
ヒュッレムの詳しい説明はこちら
・ヒュッレム(アレクサンドラ)はオスマン帝国で奴隷から皇后になった女性
大宰相イブラヒム
ヴェネツイアのパルガ出身(現在のギリシャ)。
子供時代に徴用され皇太子時代のスレイマンと出会い仕えます。スレイマンが皇帝になると大宰相に出世。皇帝の代理人として大きな権力を得ました。宰相としても優秀でヨーロッパ諸国との交渉で活躍。ムスタファ皇子を次の皇帝にしようと支持していました。皮肉にも最終的にはスレイマンの命令で処刑されます。処刑の理由は諸説ありはっきりしません。
ドラマでは皇女ハティジェと結婚しましたが女官のニギャールと不倫関係に。夫婦仲は最悪の状態からシーズン3が始まりますがなんとか修復成功。あいかわらずヒュレムとは対立。謀反の意志はありませんが、皇帝の信頼を得ているから何をしてもいいという傲慢さが命取りに。次第にスレイマンとの関係にも溝ができて・・・シーズン3ではついに彼の最期がやってきます。
イブラヒムの詳しい説明はこちら
・イブラヒム・パシャ:スレイマンに寵愛されて捨てられたオスマン帝国大宰相
皇帝妃マヒデブラン
マヒデブランは「美しい人」という意味。ギュルバハル(春の薔薇)の別名も持ちます。スレイマン1世の夫人。ドラマでは2人め(歴史上は3人目)の夫人。スレイマン1世がマニサで皇太子をしているときにハレムに来ました。息子のムスタファを産んだことで後継ぎの母親として地位を高めました。
シーズン3ではムスタファの赴任先のマニサで暮らしています。息子ムスタファを皇帝にするために恐ろしい計画をたてます。やっぱりヒュッレムのライバルはこの人か。と思わせます。
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・マヒデブラン=ギュルバハル:息子を失った悲劇の皇帝妃
王族
ハティジェ皇女
スレイマンの妹。大宰相イブラヒムと結婚していますがイブラヒムが不倫したため夫婦仲は最悪に。シーズン2からヒステリックな面が目立つようになりました。シーズン3でも機嫌の悪いところから始まります。さらに感情的に。
皇帝妃ギュルフェム
スレイマンの皇帝妃。ドラマでは1人目(歴史上は2人目)。ハティジェと仲がよく良い相談役。王子を出産したものの幼い頃に死亡。現在は妃というよりハレムの管理人のような存在に。ドラマの宮廷では数少ない常識人。
・ギュルフェム・ハトゥン、オスマン帝国皇帝スレイマンの皇帝妃
ムスタファ皇子
スレイマンとマヒデブランとの間に産まれた唯一の皇子。皇太子としてスレイマンからの信頼も大きかったのですが、ヒュッレムの策略や父との意見の違いで次第に親子の仲が微妙になってきます。歴史上は兵士たちに人気のある皇子でした。シーズン3始まりの時点ではマニサの知事。女性問題で母マヒデブランを悩ませます。マニサの知事をメフメトに奪われ自暴自棄に。
メフメド皇子
スレイマンとヒュレムの間に産まれた1番目の皇子。兄ムスタファとは仲がいい。自分を皇太子にしようする母ヒュッレムに戸惑っています。シーズン3では物語の鍵を握る重要人物です。ムスタファよりもスレイマンから好かれています。シーズン3では王位後継者のような扱いをうけますが、それが命取りになって帰らぬ人に。
ミフリマーフ皇女
スレイマンとヒュレムの間に産まれた皇女。17歳でリュステムと結婚します。このときリュステムは39歳。22歳の年の差婚です。
シーズン3ではタシュルジュルと恋仲に。成長とともに「小さなヒュッレム」と呼ばれるほどの存在に。
・ミフリマーフ皇女・大きな富をもっていたスレイマン1世とヒュッレムの娘
セリム皇子
スレイマンとヒュレムの間に産まれた2番目の皇子。
後の皇帝セリム2世。弟のバヤジトとは仲が悪い。
バヤジト皇子
スレイマンとヒュレムの間に産まれた3番目の皇子。すぐ上の兄セリムとは仲が悪い。
・バヤジット皇子はセリムと争い処刑された
ジハンギル皇子
スレイマンとヒュレムの間に産まれた4番目の皇子。病弱なところがあります。
・ジハンギル皇子はムスタファの処刑にショックを受けて急死した?
ベイハン皇女
スレイマンの妹。夫が不正を働いたため、兄スレイマン1世によって処刑されました。兄を憎んでいますが妹のハティジェとは仲がいいです。
シャー皇女
スレイマンとハティジェの妹。ハティジェが宮廷に呼び寄せます。イブラヒム亡きあとは、ヒュッレムの敵に。
エスメハン皇女
シャー皇女の娘。ミフリマーフとは仲がいい。
ハレムの人々
ここに載せているハレムの人々の多くは架空の人物です。ハレムの出来事は外に伝わることがほとんどないので記録がないからです。
トプカプ宮殿
フィルーゼ
海で遭難しているところをフズル船長に助けられスレイマンのハレムで暮らすことになります。スレイマンのお気に入りになってヒュッレムの新たなライバルになります。実はサファビー朝の王女。
アフィフェ
新しくハレムにやって来た出納係。皇帝の乳母でスレイマンの信頼も厚い。ハレムの管理職は架空の人物が多いですが、珍しく実在の人物。
スンビュル・アー
宦官長。ハレムで側女達をまとめる役人。ヒュレムたちの間に挟まれていつも苦労している。ニギャールとは喧嘩友達。
ギュルシャー・ハトゥン
ヒュッレム付きの使用人。元マヒデブラン付きの使用人。やりすぎることもあり問題を起こします。 シーズン3ではやりすぎてついに帰らぬ人に。
マニサの人々
ファトマ・ハトゥン
元マヒデブラン付きの侍女でしたが皇太子ムスタファの側女になりました。
歴史上はムスタファの子供を最初に生んだ女性。
リュメイサ・ハトゥン
ムスタファの側女。ムスタファのハレムでは最も影響力をもっていた女性といわれます。
ヘレナ・ハトゥン
ムスタファの側女。ムスタファを皇子とは知らず恋してしまう。架空の人物。
アイシェ・ハトゥン
ムスタファの側女。
オスマン帝国の政治家・役人
イスケンダー・チェレビ
オスマン帝国の財務大臣。大宰相イブラヒムとともにスレイマンを補佐します。サファビー朝の戦争中にイブラヒムとの関係が悪化して最後は処刑されることに。
マトラークチェ
宮廷史家。歴史書の編纂や記録用の絵画をかいていたオスマン帝国の役人。
出身国のボスニアでは有名な人物。ボスニアのレオナルドダヴィンチといわれます。
アヤス・パシャ
宰相。イブラヒムの死後、大宰相になります。
ヤヒヤ・タシュルジャル・ベイ
オスマン帝国軍人であり詩人。ムスタファの支持者。
フズル・ハイレッディン提督
オスマン帝国海軍提督。キリスト教国ではバルバロス(赤ひげ)のあだ名で恐れられました。
リュトフィ・パシャ
シャー・スルタンの夫、後に大宰相になります。
エブッスード・エフェンディ
スレイマンが信頼するイスラム教の法学者。実在の人物。
オスマン帝国の人々
ニギャール
架空の人物。元女官長。イブラヒムと不倫関係になって娘を出産。
ミマール・シナン
オスマン帝国で有名な建築家
ドラマの演出は面白くしているので歴史と違うこともあります。
背景がわかってるともっとドラマが楽しめるのは間違いありませんよ。
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