シャー皇女はオスマン帝国の皇族。
10代皇帝スレイマン１世の妹です。
シャーフバンともいいます。
夫は大宰相にもなったルトフィ・パシャです。
ところが夫婦げんかが白熱して離婚してしまいます。暴力をふるった夫に怒ったシャーが自分から離婚をいい出したのでした。皇女を怒らせたリュトフィ・パシャは解雇されてしまいます。
彼女は当時のイスラム女性としてはかなり強気だったようです。
シャー皇女について紹介します。
シャー・スルタンの史実
名前：シャー（Şah)または、シャーフバン（ŞaHuban）
地位：オスマン帝国皇女
生年：1509年
没年：1572年
享年：63歳。
父：セリム１世
母：アイシェ・ハトゥン
夫：ルトフィ・パシャ（離婚）
子供：
エスマハン・バハルナズ・スルタン
ネスリハン・スルタン
名前はシャー（Şah）が有名。
フルネームはシャーフバン（ŞaHuban）ともいわれます。
シャー（Şah）は女王・高貴な女性の意味。
フバン（Huban）は「勤勉」の意味。
シャーフバン（ŞaHuban）は勤勉な女王の意味になります。
1507年。マニサで生まれました。
父はセリム１世。当時のセリム１世はまだ皇帝になっていません。皇子としてマニサの知事をしていました。
母はアイシェ・ハトゥン。セリム１世とアイシェの最後の子供だといわれます。
母の名前はハフサ・アイシェと言われることもありますが。ハフサとアイシェは別人だという説もあります。その場合、スレイマン、ハティジェ、ファトマはハフサの子供、ベイハン、シャーはアイシェの子供だとされます。
シャー、ベイハンとスレイマン、ハティジェ、ファトマは異母兄弟の可能性もあるのです。
姉妹のハティジェは1494～1498年の間に生まれました。実際にはハティジェが姉でシャーが妹です。
でもドラマ「オスマン帝国外伝」ではシャーが姉になっています。ハティジェが頼る人物として登場させたかったからかもしれませんね。
シャー皇女はマニサで兄スレイマン達と一緒に暮らしました。仲がよい兄妹だったといわれます。
父・セリム１世とも仲がよく非常に可愛がられていたようです。
外見はスレイマンに似ていたと言われます。男っぽい外見だったのか、スレイマンが女性ぽい外見だったのかはわかりませんが。若い頃のスレイマンの肖像画は鼻は大きいですが細面で優男風なので兄妹で見た目が似ているのはあったかもしれません。
1523年。リュトフィ・パシャと結婚します。シャーはエスメハン・バハルナズ・スルタンとネスリカン・スルタンの 2人の娘を産みました。
1539年。アヤス・パシャの死後、夫のリュトフィ・パシャが大宰相になりました。
離婚騒動
1541年。シャー皇女はリュトフィ・パシャと離婚しました。
原因は夫のリュトフィ・パシャが行った判決に不満だったからでした。
リュトフィ・パシャは浮気した女性に対して体の一部を切断して処刑する刑罰を与えていました。
その処分を知ったシャー皇女はリュトフィ・パシャと口論になりました。口論が白熱してリュトフィ・パシャはシャースルタンを平手打ちしました。
怒ったシャースルタンは使用人に命令してルトフィーに暴行を加えました。
それでも気が治まらないシャースルタンは兄のスレイマン１世に訴えました。というのもシャースルタンとルトフィーもともと夫婦の仲はよくなかったのです。時々夫婦喧嘩をしていました。もう我慢の限界にきたのかもしれません。
妹の訴えを聞いたスレイマンは妹の離婚を認めました。それだけではありません。スレイマンはルトフィを大宰相の座から解雇してしまいます。ルトフィーはディディモティコ（現在のギリシャ）に追放されました。
この時代のイスラム社会では女性から離婚を訴えるのはありえないことです。つまりそのくらい皇帝の妹は偉いのです。皇帝の妹には大宰相ですら逆らうことが許されないのでした。
ドラマ「オスマン帝国外伝」のイブラヒムとハティジェの関係もこのようなスレイマンの妹の話をもとに脚色されているのかもしれません。
その後のシャー皇女
離婚後、シャーは子どもたちとともに旧宮殿のあるエディルネで暮らしました。
1556年。シャーモスクを建設しました。オスマン帝国の名建築家ミマール・スィナンによって建てられました。
シャーはスレイマン１世やヒュッレム、ハティジェよりも長生きしました。スレイマンの息子・セリム２世の治世まで生き続け、皇室の年長者として尊敬を集めました。
1572年。死去。享年63。
ハフサスルタン
彼女の長女エスメハン・スルタンはヒュッレムの息子、メフメド皇子と結婚しています。
ドラマ「オスマン帝国外伝」ではシャースルタンは、ヒュッレムと対立します。
でも歴史上はヒュッレムと仲がよかったようです。子供同士を結婚させるのです。本当に政敵ならそんなことはできません。
ドラマで最初はヒュッレムと仲が良いように描かれるのはその影響かもしれません。
ドラマでは、シャーの娘エスメハンはメフメドとは結婚しません。でもエスメハンは最初はメフメドに気があるようでした。歴史上は結婚したので、多少は仲がいいという設定にしているのかもしれません。
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