オスマン帝国外伝・愛と欲望のハレムは、トルコ版大奥のようなドラマで面白いですね。でもトルコの歴史や人物は知らない人も多いと思います。
そこでドラマのシーズン2に登場する人々について簡単にわかりやすく紹介します。
ドラマの期間はベオグラードの戦い直前の1525年ごろからヒュッレムがスレイマンの正妻になった1534年ごろ。
オスマン帝国の人々
主要人物
皇帝スレイマン1世
歴史上のスレイマン
オスマン帝国第10代皇帝。領土を広げ法律をつくりオスマン帝国の最盛期を作った人。その一方でハレムでは問題が多く、ハレムの人々が政治に口出しするきっかけを作ったともいわれます。詩が大好き。ムヒッピー(恋する者)というペンネームで詩を書いていました。
ドラマのスレイマン
ドラマでは家臣には厳しい皇帝。逆らうものは容赦しません。服従したものには寛大です。女性(とくにヒュレム)に振り回されるちょっと情けない面もあります。宝石加工が趣味。劇中でも詩を披露します。イスラム教徒にしては珍しくヨーロッパの文化に理解があります。
皇帝妃ヒュッレム
歴史上のヒュッレム
本名はアレクサンドラ・アナスタシア・リソフスカ。
ルテニア地方(現在のウクライナ)出身。父はキリスト教(正教会)の司祭。アレクサンドラもキリスト教徒(正教徒)でした。
故郷がクリミア・タタール人に襲われ奴隷として売られます。歴史上はオスマン帝国でイブラヒムに買われたあと宮廷に献上され側女になりました。ハセキスルタンの称号で呼ばれました。
オスマン帝国では改宗してヒュレムと呼ばれました。歴史上は母后ハフサ・アイシェが生きている間は特に問題は起こしていません。ハフサ・アイシェの死後、マヒデブランを陥れスレイマンの寵愛を独占。スレイマンと正式に結婚して皇后(ハセキ・スルタン)になります。政治にも口を出して「スレイマン皇帝が魔法にかけられた」といわれるくらい影響力をもちました。5男1女を出産。息子のセリムが次の皇帝になります。
ドラマのヒュッレム
かなり気が強くて常に自分が正しいと信じて疑わない。嫉妬深い性格。シーズン2では母后とも対立。スレイマンにも強気に出たり泣き落とししたりとうまくコントロール。たまにやりすぎて注意されることもありますが、スレイマンの寵愛を手放すことはなく奴隷の身を開放されて正式にスレイマンの妻になります。感がするどく策略を考えるのが得意です。
大宰相イブラヒム
歴史上のイブラヒム
ヴェネツイアのパルガ出身(現在はギリシャ領)。
子供時代にデヴシルメ(徴用)されオスマン帝国で育ちます。皇太子時代のスレイマンと出会い信頼を得て仕えます。スレイマンが皇帝になると大宰相に出世。皇帝の代理人として大きな権力を得ました。宰相としても優秀でヨーロッパ諸国との交渉で活躍。ムスタファ皇子を次の皇帝にしようと支持していました。
もともとキリスト教徒だったこと、パルガ出身の奴隷だったことから、周囲の高官から軽蔑されることが多かったようです。スレイマンに気に入られて出世したことも周囲の妬まれるる原因になりました。皮肉にも最終的にはスレイマンの命令で処刑されます(ドラマではシーズン3)。処刑の理由は諸説ありはっきりしません。
俗説では皇女ハティジェと結婚したといわれます。ドラマではハティジェと恋仲になり結婚します。ヒュレムとは対立します。
ドラマのイブラヒム
ドラマではパルガル(パルガ人)とあだ名されることもあります。スレイマンに信頼されて小姓頭から大宰相に大出世しました。冷静ですがたまにキレます。シーズン2では傲慢さがでてきてスレイマンとの信頼関係は徐々に薄れます。ニギャールと不倫関係にもなり。夫婦仲も悪くなる一方。
母后ハフサ・アイシェ
スレイマン1世の母親。母后(ヴァリデスルタン)と呼ばれます。先代の皇帝セリム1世のカドゥン(側室)。ロシアとトルコの中間にあるイスラム教徒の国、クリミアハン国の王族。ヴァリデスルタンはハレムでは一番の影響力を持っています。クリミアハン国はオスマン帝国の属国。事実上の人質としてセリム1世のハレムに来ました。しかし皇帝の母になったことで大きな権力を手にします。
熱心なイスラム教徒なのでヨーロッパの文化には理解がありません。ドラマではハレム内で次々と問題が起こるのでいつも頭を悩ませています。シーズン2終盤で死亡。
ハフサ・アイシェの詳しい説明はこちら。
・ハフサ・アイシェの詳しい説明はこちら
皇帝妃マヒデブラン
マヒデブランは「美しい人」という意味。ギュルバハル(春の薔薇)の別名も持ちます。スレイマン1世の夫人。ドラマでは2人め(歴史上は3人目)の夫人。スレイマン1世がマニサで皇太子をしているときにハレムに来ました。息子のムスタファを産んだことで後継ぎの母親として地位を高めました。
ドラマではヒステリックな女性として描かれます。当初は母后ハフサ・アイシェのお気に入りでしたが、息子が跡継ぎなのをいいことに傲慢になります。母后の死後、ハレムの管理を任されますがうまくいかずに問題が起こります。
マヒデブランの詳しい説明はこちら。
・マヒデブラン=ギュルバハルの詳しい説明はこちら
王族
皇女 ハティジェ
スレイマンの妹。ハフサ・アイシェの娘。一度結婚して宮殿を出ていましたが夫と死別したため宮殿に戻って暮らしています。イブラヒムと恋仲になり結婚。子供の死や夫イブラヒムのことでヒステリックになります。
皇帝妃 ギュルフェム・ハトゥン
スレイマンの皇帝妃。ドラマでは1人目(歴史上は2人目)。ハティジェと仲がよく良い相談役。王子を出産したものの幼い頃に死亡。現在は妃としてはスレイマンに相手をされなくっていますが、部下としては信頼されている様子。
皇子 ムスタファ
スレイマンとマヒデブランとの間に産まれた唯一の皇子。歴史上は兵士たちに人気のある皇子でした。成人後は女性問題で母と意見が合わないこともありますが、基本は母親思い。母親の違う弟を大切にしています。
・ムスタファ:父スレイマン1世によって処刑された悲劇の皇子2018年11月9日
皇子 メフメト
スレイマンとヒュレムの間に産まれた1番目の皇子。異母兄ムスタファを慕っています。
皇女 ミフリマーフ
スレイマンとヒュレムの間に産まれた皇女。母親に似て気の強いところがあります。
・ミフリマーフ皇女・大きな富をもっていたスレイマン1世とヒュッレムの娘
皇子 セリム
スレイマンとヒュレムの間に産まれた2番目の皇子。
後の皇帝セリム2世。弟のバヤズィットとはあまり仲が良くない。
皇子 バヤズィット
スレイマンとヒュレムの間に産まれた3番目の皇子。ひとつ上の兄セリムとは張り合おうとします。
・バヤジット皇子はセリムと争い処刑された
皇子 ジハンギル
スレイマンとヒュレムの間に産まれた4番目の皇子。病があります。
・ジハンギル皇子はムスタファの処刑にショックを受けて急死した?
アイビケ・ハトゥン
ハフサ・アイシェの姪。架空の人物です。シーズン2より登場。クリミア・ハン国の王女。国が内乱になったためハフサがオスマン帝国に呼びよせました。マルコチュールと恋仲になります。やがてムスタファとの結婚話も持ち上がりますが、彼との結婚を拒んで祖国に帰ります。
ハレムの人々
ここに載せているハレムの人々はほとんど架空の人物です。ハレムの出来事は外に伝わることがほとんどないので記録がないからです。
ダイエ・ハトゥン
母后付女官長。皇族付の女官は他の女官よりも地位が高い。若い頃からハフサ・アイシェに仕えています。母后の死後、宮殿を去ります。
スンビュル・アー
宦官長。ハレムで側女達をまとめる役人。ヒュレムや母后たちの間に挟まれていつも苦労している。ニギャールとは喧嘩友達。
ニギャール・カルファ
女官長。ハレムで側女たちの指導を行う女官。ハレムでは数少ないヒュレムの理解者。
イブラヒムと不倫関係に。
ギュルシャー・ハトゥン
マヒデブラン付きの使用人。マヒデブランの命令で動くことが多いですが、やりすぎることもあり問題を起こします。そのせいでシーズン2終盤ではマヒデブランから愛想をつかされヒュッレムの味方をすることに。
エスマ・ハトゥン
ヒュレムの使用人。実はヒュレムと同じころにハレムに入った側女の一人。
サドゥカ・ハトゥン(ヴィクトリア)
ハンガリーの伯爵夫人。夫の仇を討つためにスレイマンのハレムに潜入。
シェーカー・アジャ
料理長。宮殿の台所を仕切ってます。ニギャールやスンビュルとよく会話しています。
イザベラ王女
シーズン2に登場。カスティーリャ国(スペイン)の王女。海賊に拉致されオスマン帝国に売られててきました。最初は祖国に戻ることを希望していましたが、後にスレイマンに惹かれヒュレムと対立します。スペイン王国には同名の女王がいますが別人。架空の人物です。
オスマン帝国の政治家
アヤス・パシャ
オスマン帝国の宰相。イブラヒムとともにスレイマンに仕えます。
イスケンダー・チェレビ
オスマン帝国の財務大臣。大宰相イブラヒムとともにスレイマンを補佐する。ペルシャとの戦争中にイブラヒムとの関係が悪化して最後は処刑されることに。
・イスケンダー・チェレビ 最後は処刑されたオスマン帝国の財務大臣
アルヴィーゼ・グリッティ
ヴェネツィア共和国国家元首の息子。オスマン帝国で生まれ育ちました。裕福な商人。しかし庶子なのでヴェネツィアに戻れません。オスマン帝国の外交顧問になります。歴史上はオスマン帝国の援助で決起してハプスブルク家に捕まり処刑されます。
・アルヴィーゼ・グリッティ:ヴェネツィア元首の息子はオスマン帝国のスパイだった?
マルコチョール
勇敢な軍司令。女性に惚れっぽく、問題を起こします。歴史上は州総督まで努めた人物。
その他の人々
マトラークチェ
宮廷史家。歴史書の編纂や記録用の絵画をかいていたオスマン帝国の役人。
出身国のボスニアでは有名な人物。ボスニアのレオナルドダヴィンチといわれます。
・マトラークチュ:オスマン帝国で才能を発揮したボスニアのレオナルドダビンチ
レオ
ヒュッレム(アレクサンドラ)の元恋人。アレクサンドラを探しながら彷徨っていた。絵の上手さを評価されてオスマン帝国で働くことになる。ヒュッレムからは立ち去るように言われるがなかなか出ていかない。最終的にはイブラヒムに身元がばれて命を断つことに。架空の人物。
ドラマの演出は面白くしているので歴史と違うこともあります。
背景がわかってるともっとドラマが楽しめるのは間違いありませんね。
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