オスマン帝国の海軍提督バルバロスにはたくさんの名前があります。
フズール、ハイレッディン、バルバロス、バルバロッサです。
なぜこんなに名前があるのか紹介します。
バルバロス・ハイレッディンの名前
フズール・レイス(Hizir Reis)
フズール・レイス(Hizir Reis)はバルバロス・ハイレッディンの本名です。
フズールがファーストネーム。レイスがファミリーネーム。
ハイレッディン(Hayreddin)
ハイレッディンはオスマン帝国皇帝・セリム1世から与えられた名前です。イスラム教徒はバルバロスをハイレッディンと呼んでいました。ハイレッディンには「最高の信仰」という意味があります。
キリスト教国も兄のウルージ・バルバロッサと特別するため、ハイレッディン・バルバロッサと呼ぶこともあります。
バルバロッサ(Barbarossa)
キリスト教国側の呼び名。世界的にはもっともよく知られる呼び方です。
「バルバロス」の名はイタリア語のバルバロッサ(barba rossa)=赤ひげが元になっているといわれます。
ハイレッディンにはウルージという兄がいました。ウルージは ババ・ウルージ(Baba Oruç)と呼ばれていました。バーバリ海賊のウルージという意味です。トルコからアフリカ北海岸を拠点に活動する海賊はヨーロッパではバーバリ海賊と呼ばれていました。
また、ウルージには赤いひげがあったことからイタリア語で赤髭を意味するbarba rossa と呼ばれるようになったともいわれます。
キリスト教国側では兄ウルージ・バルバロッサと区別するために ハイレッディン・バルバロッサ (Hayreddin Barbarossa)と呼ぶこともあります。
バルバロス(Barbaros)
キリスト教国にバルバロッサと呼ばれた兄ウルージはスペインとの戦いで戦死します。以後、バルバロッサはフズールの異名になりました。バルバロッサの異名はオスマン帝国にも知られるようになりました。トルコ式の発音でバルバロスがハイレッディンのあだ名になりました。
キリスト教側の呼び名だったものが逆輸入された形になりました。
トルコではバルバロス・ハイレッディン・パシャと呼ばれることもあります。パシャは宰相という意味です。しかしバルバロスはあくまでもあだ名です。オスマン帝国では公式にはフズールあるいはハイレッディンと呼ばれていたようです。
バルバロス・ヘイレッディンについての説明はこちらも記事を読んでください。
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