アンビは古代インドにあったタクシラ国の国王。アンビクマールともいいます。ギリシャではタクシラの地名をとってタクシレスと呼ばれます。
アンビのタクシラ国は長年ポロスのパウラヴァ国と争っていました。
アレクサンドロス3世がインド方面に遠征するとアンビは配下になりました。そしてアレクサンドロス3世と共にポロスと戦いました。
アンビについて紹介します。
アンビ(タクシレス)の史実
名前:アンビ(Ambhi)、アンビクマール
ギリシャ名:タクシレス(Tαξίλης、Taxilas)
地位:タクシラ国王
生年:紀元前351年ごろ
没年:紀元前305年ごろ
父:アンビラージ
母:アルカ
妻:アルカクマリ
日本では弥生時代になります。
タクシラ国では伝統的に国王をアンビと呼んでいました。父もアンビ王です。親子を区別するときは父をアンビラージ、息子をアンビクマール(Ambhikumar、意味はアンビの息子・王子)と呼ぶこともあります。
インドのドラマ「ポロス」の字幕では父がアンビ王、息子がアンビ王子になってます。役者さんのセリフでは父が「アンビラジ」息子が「アンビクマル」と言ってるのがわかります。
タクシラ国は紀元前4世紀ごろインダス川流域にあった国。東にはポロス王のパウラヴァ、北はアビサレス王のカシミールです。隣のパウラヴァ国と長年争っていました。
アンビ王子はマケドニアが遠征していると聞くと父アンビラジにマケドニアに服従するように提案しました。しかし実現する前にアンビラジが亡くなりました。
父のあとタクシラ国王になったアンビはアレクサンドロス王に使者を送りました。
アレクサンドロスより先にインド方面に来ていたヘファイスティオン将軍とペルディッカス将軍と出会いました。ところがアンビはその場では降伏を否定しました。
アンビは直接アレクサンドロスと交渉したかったのです。ゾクディアナ(現在のウズベキスタンのあたり)にいるアレクサンドロス王に使者を送りました。銀や牛、羊、象を貢物として送って降伏しました。
紀元前327年。アレクサンドロスはインダス川流域に到着。
初めてアンビの軍を見たアレクサンドロスは驚き部下に戦闘準備を命じました。アンビはアレクサンドロスに贈り物を送り誤解をときました。アレクサンドロスは称号とペルシャのローブ、金と銀の装飾品、30頭の馬と黄金を与えました。
アンビはタクシラにマケドニア軍が駐留するのを認め、ヘファイスティオン将軍とペルディッカス将軍がインダス川に橋をかけるのを手伝いました。マケドニア軍に食料を提供しました。
いくつかのインドの部族の王はアレクサンドロスに降伏しましたが、ポロスは降伏しませんでした。
ハイダスペス(ジェーラム)河畔の戦い
紀元前327年の春。アンビは5000人の兵とともにマケドニア軍に合流しました。
ハイダスペス(ジェーラム)川を挟んでマケドニア軍とポロスの軍が向かい合いました。
戦いが始まるとマケドニア軍は有利に戦いを勧めます。ポロスの兵は次々に倒れますがポロスは勇敢に戦いました。その姿に感銘を受けたアレクサンドロスはポロスを殺すのは惜しいと考え、アンビにポロスが降伏するよう説得を命じました。
アンビは像に乗って戦場で戦うポロスのもとに向かい、降伏するように言います。しかしポロスはアンビの言葉には耳をかさず逆に槍を投げてきました。アンビはポロスの説得に失敗しました。
その後、何人もの使者がおくられようやくポロスは降伏します。
戦いの後、アレクサンドロスの仲介でアンビとポロスは和解しました。
アレクサンドロスの死後
アレクサンドロスはピリッポリス将軍をインド方面の太守にしてペルシャに戻ります。しかし反乱がおこりピリッポリスは殺害されてしまいました。
アレクサンドロスは次の太守を決めるまで代官エウダモスとタクシレスに協力してこの地を治めるように支持します。
紀元前323年。次の太守を決めることなくアレクサンドロスが死亡したためエウダモスとアンビがこの地方を支配します。
アレクサンドロスの死後に後継者争いが起こりエウダモスはインドを去ります。その後、アンビがどうなったのかはわかりません。
その後、インドはガンジス川流域から勢力を拡大したマウリア朝のチャンドラグプタがインド北部を統一しました。
チャンドラグプタはインド北西部にいたマケドニアの勢力を排除しました。マケドニアに味方していたアンビもチャンドラグプタに敗れたのかもしれません。
ドラマ
ポロス 2017、インド 役名:アンビクマール 演:Zohaib Siddiqui
ドラマに登場するアンビ王はアンビクマールの父:アンビラージ
ドラマのアンビ王子が歴史上のアンビクマール(タクシレス)。
父と子が同じ「アンビ」という名前なので、父をアンビラージ、子をアンビクマールといいます。クマールは英語のジュニア同じ意味です。
ドラマではアンビ王(アンビラジ)の出番を多くしたので、歴史上のアンビクマールの役割をかなりもたせています。
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