「新・オスマン帝国外伝・影の女帝キョセム」のあらすじとネタバレ紹介記事です。
大人気トルコドラマ「オスマン帝国外伝」の新シリーズ「新・オスマン帝国外伝・影の女帝キョセム(Muhteşem Yüzyıl: Kösem)シーズン1」がいよいよBSでも放送開始。
今回の主人公は第14代皇帝 アフメト1世の妃で第17代皇帝ムラト4世の母。キョセム・スルタン。
キョセムスルタンはオスマン帝国史上もっとも権力を持った母后と言われました。
シーズン1ではキョセムが側女としてトプカプ宮殿にやってきて熾烈な争いに勝ち残り、アフメト1世の寵愛を得て皇子の母になり。皇帝の母になるまでが描かれます。
トルコ版は1話が2時間から2時間半あります。日本放送版はトルコ版の全30話を84話に編集しています。この記事では。
オリジナル版
No.1″Aslan, Kurt ve Kuzu”(獅子、狼と子羊)、
No.2 “Alametler ve Mucizeler”(前兆と奇跡)
No.3 “Adalet Kulesi”(正義の塔)
に相当する日本語版
第1話 13歳の皇帝から
第9話 憎悪の種
までを紹介します。
用語解説
ファトワ(宗教的見解)
イスラム教の指導者(ムフティ)が出す声明文。イスラム社会では法的な力をもちます。ムフティ個人の考えで出すことができるので、ときにはおかしなファトワがでることもあります。現在の日本で例えると裁判所の判例に近い。
オスマン帝国ではシェイクリスラム(イスラム長老)が皇帝の即位、退位、戦争の開戦、王族の処刑などでファトワを出しました。
シェイクリスラム(イスラム長老)とはオスマン帝国のイスラム教で最高の地位にある指導者。皇帝(パーディシャー)の次に権威があるとされました。
第1話 13歳の皇帝
プロローグ
オスマン帝国 第10代皇帝 スレイマン1世の崩御から24年後。マニサの知事になっていた皇太子メフメトとハンダン妃の間にアフメト皇子が生まれました。
アフメト皇子が5歳の時。父メフメト3世が第12代皇帝に即位。アフメトも母ハンダン妃とともに帝都イスタンブールにやってきました。帝都には祖母のサフィエがいました。
肖像画の少女に惹かれるアフメト
メフメト3世は即位すると19人の兄弟を死刑。そして治世の終わりには自分の息子で側女のハリメとの間に生まれたマフムトを処刑しました。
もともと父を恐れていたアフメトは異母兄弟マフムトの処刑で深く悲しみました。母后サフィエはそんな孫を慰めたようと世界中から持ち寄った宝物を見せました。
アフメトはその宝の中に可憐な少女の肖像画があることに気づき、その少女に惹かれました。そんなアフメトの変化に気がついた母后サフィエは孫が興味をもったその少女をトプカプの宮殿に届けるように命じるのでした。
新しい皇帝
その後、父メフメト3世が崩御。13歳のアフメトはスルタンの間に案内されサフィエからスルタン(皇帝)になったことを知らされるでした。
一方、ギリシャの島にオスマン帝国の船が到着。彼らは母后の命令を受けて肖像画の少女を探しに来たのでした。
さらわれたアナスタシア
サフィエの部下ナスフ・アガはギリシャのケファロニア島に上陸。ヴェネツィア商人の娘アナスタシアを誘拐しました。家族と離れたくないアナスタシアはイスタンブールへ向かう途中で逃げようとします。ところがジェラーリー(反乱者)の無法者たちに遭遇しました。
少女は新兵のアレックスに助けられました。彼はアナスタシアに恋して都で彼女を見つけ出すと約束するのでした。
新皇帝アフメト1世即位
皇帝アフメトの即位後、祝典が行われました。皇族の女性たちも勢ぞろい。母后になったハンダン妃がやってきました。ハレムは新母后ハンダンが率いることになります。でも権力を失いたくない先帝の母后サフィエは対抗心をむき出しにして2人は火花を散らすのでした。
皇帝アフメトの警備隊隊長デルヴィーシュ・アガをお供に新皇帝はイェニチェリ(常備歩兵軍)を前に式典に望みます。その場で皇帝アフメトは弟を殺さないと宣言。しかし母后ハンダンは納得できない様子。
ハリメの決断
ムスタファ皇子の生母ハリメは息子の命が助かり一安心するものの、皇帝アフメトがいつ心変わりするかと思うと怖くて仕方ありません。財務長官ムーサと接触。ムーサは逃げるように勧めますが、ハリメは息子を皇帝にするか死ぬかだといいます。
第2話 2人の母后
サフィエとハンダンの対立が始まる
皇帝アフメト即位後も先帝の母后サフィエは権力を維持していました。しかしハレムに君臨できる母后はひとりのみ。新しく母后になったハンダンとの駆け引きが始まります。さらにハンダンは先帝が自然死したのではないとの情報を掴み不安になるのでした。
息子を皇帝にしようと考えるハリメ妃
またムスタファ皇子の母・ハンダン妃はムーサをジェラーリ(反乱軍)に接触させ彼らの力でムスタファを皇位につけようと考えるのでした。
新しい名前マフペイケル
アナスタシアはトプカプ宮殿へ連れてこられました。アナスタシアは太皇太后サフィエの前に引き出され、新しい名前のマフペイケル(月のような美しさ)を授けられます。そして二度と家に戻れないことを知り落胆するのでした。
脱走未遂
アナスタシア(マフペイケル)は先輩の側女たちからハレムには恐ろしいスルタンがいると聞かされます。アナスタシアは偶然抜け道を派遣し、トプカプ宮殿から脱走しようとするのですが。
第3話 肖像画の娘
アフメトとの出会い
アナスタシアは宮殿から脱出しようとしました。そこに偶然にも皇帝アフメトがやってきて二人は出会います。しかし彼女は目の前の男が皇帝だとは気が付きません。
皇帝アフメトの危機
母后ハンダンは早く孫の顔がみたくてアフメトのために宴を開きました。そして夜伽のために側女を用意。でもアフメトにはその気はなく側女を下がらせ。ギライ兄弟から献上されたライオンに餌をやりに地下室に行ってしまいます。
ところがいつのまにかライオンの鎖が斬られていて、ライオンが皇帝メフメトに襲いかかろうとしました。幸いにも警備隊長のデルヴューシュに助けられました。
ハリメ妃とムスタファ皇子の逃走
先帝の妃ハリメは息子のムスタファが殺されると知って宮殿を脱出。財務長官ムーサの協力を得てジェラーリーに合流しようと潜伏しています。
初めての夜伽
アナスタシアにも夜伽の命令が下りました。皇帝アフメトのもとに行ったものの何事もないまま一晩をすごすアナスタシア。ところがスルタンの寝室で目を覚ましたアナスタシアは自分の肖像画を発見。アフメトの命令で彼女を拉致したと非難するのでした。
第4話 悲しき慣例
大部屋に戻ったアナスタシア
初めての夜伽のあと。アフメトはアナスタシアを下がらせ個室を与えますが。側女との会話で何もなかったことがバレてしまい側女たちの大部屋に戻されるのでした。
弟の処刑を決意
皇帝アフメトのもとに占い師がやってきて不吉な予言を残します。皇帝アフメトはこのままでは命が危ないと感じ。弟ムスタファの処刑を決意。イスラム長老に処刑を命じるファトワ(宗教的見解)を出すよう依頼しました。
でも血筋が耐えることを心配する太皇太后サフィエは、ムスタファの処刑に反対するのでした。
連れ戻されるハリメ妃とムスタファ皇子
すでに先帝の妃ハリメは宮殿を脱出してジェラーリーに合流しようと潜伏していましたが。財務長官ムーサの協力を得て港に行く途中でクリミア・ハン国の王子シャーヒン・ギライに見つかってしまい連れ戻されてしまいます。
第5話 2つの道
皇帝アフメトと太皇太后サフィエの対立
皇帝アフメトは弟のムスタファを処刑しようと考えていましたが。イスラム長老にムスタファの処刑を認めるファトワ(宗教的見解)を書くよう依頼したところ、処刑に反対されてしまいます。祖母サフィエの差し金だと知った皇帝アフメトはサフィエを旧宮殿(エスキサライ)に移すと言い出します。
皇女ファーリエの秘密
太皇太后サフィエの娘・皇女ファーリエとクリミア・ハン国の王子メフメトが密かに手紙のやり取りをしていました。
やがて皇帝アフメトがそのことを知るのですが。
新兵イスケンデルの配属
一方。徴用(デヴシルメ)で帝都にやってきたアレックスは歩兵常備軍の兵舎でイスケンデルと名付けられ、ズルフィカール・アガの率いるイェニチェリ(常備歩兵軍)の新米部隊に配属されます。
投獄されるアナスタシア
アナスタシアは夜伽から戻ってきたマフィルズと喧嘩。そのときアナスタシアが皇帝の悪口を言ってしまったため、ハンダン・スルタンの命令で地下牢に投獄されてしまいます。
第6話 絶望の闇
ムスタファ皇子を殺害しようとするが
皇帝アフメトは弟ムスタファの処刑を決定、処刑人を送りますが。雷雨の中、兄マフムトの亡霊をみてしまい、間一髪のところで処刑を思いとどまります。
祝儀金がもらえない兵士たちが暴動
イスタンブールでは兵士たちが皇帝の即位の祝儀金が出ないことに怒って暴動を起こしていました。即位の祝儀金を受け取ることができなかった兵士たちは宮殿を襲撃。宮殿の衛兵とにらみ合いになってしまいます。
アフメトから宮殿からの追放を言われた太皇太后サフィエは、宮殿に留まることを条件に自分の資金から支払うと申し出ますが皇帝アフメトは拒否します。
聞いてはいけないものを聞いてしまったアナスタシア
アナスタシアは皇帝アフメトによって牢から出されました。スキをみて逃亡するアナスタシアですが秘密通路を通っていたところ偶然、医師長と後宮宦官錠レイハン・アガの話を聞いてしまいます。彼が先帝メフメト3世の命を狙った一人のようでした。そして医師長が話し終えるとレイハンは医師長を殺してしまいます。アナスタシアも見つかってしまい、海に投げ込まれてしまいます。
感想と解説
注意:オスマン帝国では皇帝が即位すると兵士たちに祝儀金を出すのが慣例になっていました。オスマン帝国の決まりではイェニチェリは徴用されてやってきた皇帝の下僕ですが、主人にご褒美を要求する権利もあるのです。
歴史上はセリム2世が即位した時、兵士に渡す金に困って姉ミフリマーフに借金して渡したこともあります。ミフリマーフはその時の恩があるのでセリム2世の宮殿では母后扱いになっていました(ドラマ「オスマン帝国外伝」ではそのエピソードがなかったのが残念)
第7話 目撃者の運命
海に落とされたアナスタシアは
袋詰にされて海に落とされてしまったアナスタシアでしが。ギョルゲ・ハトゥンによって助けられました。でもアナスタシアは怖くて何もおぼえていないといいます。
正義の塔のアナスタシア
夜、アナスタシアは正義の塔に行くように言われます。
第8話 陰の支配者
アフメトの告白
正義の塔にでアナスタシアを待っていたのは皇帝アフメトでした。アフメトは最も大切なのはアナスタシアだと告白するのでした。
アフメトとイスケンデル(アレックス)
皇帝アフメトは新兵の訓練所を訪問。アフメトはイスケンデルと剣の稽古をします。ところがイスケンデルは皇帝を打ち負かしてしまい処罰を受けてしまいます。
サフィエの妨害で再び暴動の危機が
エジプトから届く予定だった税金が太皇太后サフィエの妨害で宮殿に到着しません。俸給が支給される日、祝儀金はまだ出せないと聞かされた兵士たちは再び反乱。宮殿に迫るのですが。
第9話 憎悪の種
サフィエの提案を受け入れる皇帝
祝儀金が出ないことに腹を立てた兵士たちが反乱。皇帝アフメトはしかたなく太皇太后サフィエの提案を受け入れ、お金を用意することになります。
ハリメとハンダンの同盟
先帝の妃ハリメは、母后ハンダンに接近。ある助言をします。その助言をもとに母后ハンダンは太皇太后サフィエの使用人をすべて宮殿から追い出すのでした。
解説
注:正義の塔 Adalet Kulesi(アダーレト・クレスィ) はトルコのトプカプ宮殿にある塔の名前。メフメト2世が最初にトプカプ宮殿を造ったときから正義の塔があったといわれます。現在の塔は回収されているので建築時の物ではありませんが。トプカプ宮殿でも由緒ある場所です。オスマン帝国のスルタンの永遠の正義を象徴しています。宮殿の外からでもよく見えるように作られて。皇帝の権威のシンボル的存在でした。
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